グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  氷会議 <ソーラーアイス対談>

氷会議 <ソーラーアイス対談>


― 純氷づくりは、まだまだ試行錯誤の連続です
― 極端な言い方すると「氷が劣化している」んですよ

鈴木ソーラーアイスの開発・品質向上において、長年、二𣘺さんから貴重なアドバイスをいただいています。氷づくりというのは本当に難しいですね。未だその奥深さに頭を悩まされています。全く同じ条件でつくっても、氷の中に白いモヤが出たり、気泡が入ってしまったり…。まだまだ試行錯誤の連続です。

二𣘺先日も御社の製氷担当の方が「ご意見を!」っていらっしゃいました(笑)。そうですね、まさに「たかが氷、されど氷」。私も氷について調べようといろいろ文献を探しましたが、雪に関するものはあっても、氷、特に製氷に関するものって皆無なんですよ。それだけニッチな世界なんですね

鈴木:「水を凍らせれば氷になる」。確かにそうなのですが、実際はそんな簡単な話じゃありません。水の質、凍らせる温度、時間、湿度も影響してきます。特に水は重要で、私どもは天竜川の伏流水にこだわっていますが、ただ使うのではなく、水の磨き方(水から不純物を取り除く工程)も一筋縄ではいきません。
二𣘺:良い氷をつくるには、水をきれいにし過ぎてもダメ。ある程度必要なものは残しておかないと透明度が出なかったり、溶けやすくなったりします。
鈴木:そこが難しいんですよね。普通の水道水をどんなにこだわって凍らせても良い純氷にはなりませんから。
二𣘺:一度溶けた氷、短時間で作った氷は、とにかく“水っぽい”。極端な言い方をすると「氷が劣化している」。一度溶けた氷は元のおいしい氷には戻りません。私なんか随分昔から純氷しか口にしていないので、製氷機の氷は食べていません。食べてないというか、水っぽくて食べられない(笑)。
鈴木:氷に「おいしい」「おいしくない」の区別があるというのも一般の方には伝わりにくいんですよね。実際に召し上がっていただければ違いは歴然なのですが。特にソーラーアイスはとてもまろやか。余計な主張をしないので、お酒やソフトドリンクに入れたり、かき氷にするのに最適なんです。

― あくまで氷ですから、できるだけ多くの方に使っていただきたい
― 日本で三本の指に入る、すばらしい純氷だと思いますよ

二𣘺:凍らせる温度は-8℃くらいですか? 
鈴木:季節にもよりますが、基本は-6℃~-7℃ですね。外気温や湿度、水の状態を見極めながら調整しています。これもすごく微妙なところで、0.5℃違うだけで気泡が入ったり、1~2℃違うだけで凍るまでの時間が数日変わってきたりします。
二𣘺:普通の製氷会社だと、だいたい2日間で純氷になるように-10℃くらいで凍らせるところがほとんど。-6℃~-7℃っていうのはどこもやっていないと思います。採算が取れないですから(笑)。
鈴木:ソーラーアイスは純氷になるまで3~4日、季節によっては1週間かける場合もあります。
二𣘺:だからこそお世辞抜きに、ソーラーアイスには期待しているんです。今、日本で一番手間隙かけて作っている純氷は、間違いなくソーラーアイス。個人的には、日本で三本の指に入るほどすばらしい純氷だと思いますよ。
鈴木:ありがとうございます。本音を言えばもっと時間と手間隙をかけたいのですが、それだとさすがに商売にならなくて(苦笑)。

二𣘺:製氷会社自体、全国的にどんどん少なくなっていますからね。加えて、ソーラーアイスほど熱心な純氷づくりをしているところなんて、数社くらいしかありません。もう少し価格を上げてもいいんじゃないですか? 
鈴木:そうしたいところですが、あくまで氷ですから。できるだけ多くの方に使っていただきたいので(笑)。ところで、ソーラーアイスは食用をメインにつくっていますが、彫刻で使われるとなるとまた適性が変わってくるのでしょうか?
二𣘺:基本的には変わりません。それこそソーラーアイスでしたら、硬くて、透明感があって、溶けにくいので、彫刻にも向いています。いい加減な氷が用意されると本当に困ってしまうんですよ。氷の芯がすごく太かったり、彫る前から一部が欠けたり、溶けはじめていたり…。「こんな氷を彫れって言うの?」って(苦笑)。
鈴木:では、これからは「ソーラーアイス指定」でご愛顧いただけたらと思います(笑)。本日はお忙しい中、ありがとうございました!
二𣘺:こちらこそありがとうございました。これからも頻繁に“氷会議”をしていきましょう(笑)。
 

Profile

氷工房にはし 二𣘺 一幸

日本を代表するアイススカルプター。フローラルアイスをはじめとする、世界レベルの氷彫刻技術とパフォーマンスで、イベント出演、TV出演、企業CMへの作品提供などを行っている。最近は〈名探偵コナン〉単行本・96巻(少年サンデーコミックス)の表紙、作中トリックに採用されたことが話題に
詳細は公式HPにて → http://koorikoubou284.com/